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第4回電竜戦TSEC指定局面戦の結果(2023/06/30)

NPO法人AI電竜戦プロジェクト主催 第4回電竜戦TSEC指定局面戦 に将棋AI「ねね将棋」で参加しました。この大会の特徴は、通常の初形からの対局開始ではなく、主催者が指定した局面から対局が開始するという点です。コンピュータ将棋ではあまり登場しない相振り飛車の局面や、棒玉戦法のようなジョーク局面もあります。

ねね将棋の中身は5月の選手権と変わりません。iPad上で思考しています。下記の技術的対応の章に書きましたが、コードの変更は一切不要でした。

select766.hatenablog.com

結果

予選は全30ソフトが参加しました。ねね将棋は20.8勝19.2敗で15位でした。

予選の上位4チームはファイナルに進出し、残りの24チーム(棄権あり)はB級リーグで対局になります。

B級リーグは4部門に分かれており、各6回戦(指定局面ごとに先手と後手を持つソフトを入れ替えて2回対局するため合計12対局)あります。

  • 【第一部相振り部門】 7勝5敗 8位
  • 【第二部ネタ部門】 6勝6敗 11位
  • 【第三部居飛車部門】 6.4勝5.6敗 11位
  • 【第四部対抗系部門】 5勝7敗 16位

対局内容としては、強豪やねうら王に引き分けを得たのがハイライトでしょうか。指定局面に対するコメントとして「角換わりは先手必勝とも言われている。」とあるので、後手のやねうら王がうまく千日手に誘導したというのが妥当な解釈と思われます。棋力差があることがわかっていれば、定跡を捨てて相手を詰ませに行ったほうがやねうら王としては得だったかもしれません。

https://denryu-sen.jp/denryusen/dr4_tsec/dist/#/dr4tsec+buoy_tokumei41_tesc4y1-3-top_48_neneshogi_yaneurao-120-2F+neneshogi+yaneurao+20230630225939

予選3回表 ねね将棋-やねうら王

持ち時間2分+1手ごとの加算2秒という短時間はハードウェア性能が低く読めるノード数が少ない、かつ合議で余計な時間がかかるねね将棋にとってかなり不利ですが、ちゃんと動作してよかったです。

運営、スポンサー、対局者の皆様ありがとうございました。

指定局面戦への技術的対応

主催者が局面を指定する技術的手段は、shogi-serverの"buoy"機能です。telnetでshogi-serverに入り、 %%SETBUOY コマンドを打つと局面が指定できます。

$ telnet localhost 4081
Trying ::1...
Connected to localhost.
Escape character is '^]'.
LOGIN master pass1 x1
LOGIN:master OK
##[LOGIN] +OK x1
%%SETBUOY buoy_foo-1500-0 +1716FU-1314FU
##[SETBUOY] +OK

この例では▲1六歩△1四歩を指した後の局面から対局が始まります。将棋所からは、サーバ通信対局(floodgateではないモード)で、パスワードに上記の buoy_foo-1500-0 を指定します。

将棋所から起動されるUSIエンジンでは、以下のように局面指定が来ます。

position startpos moves 1g1f 1c1d

つまりは通常の対局の途中から始まった形になるだけです。position sfen ...という形式では来ないので、私の場合は追加実装が不要でした。

対局後にログアウトしない拡張モード(floodgateモード)との組み合わせ方につきましては、私は理解しておりませんが、本番では連続対局のために使用されています。結果的には本番でトラブルなく連続対局ができました。