2022年12月3日(土)~4日(日)に開催されたコンピュータ将棋ソフトの大会「第3回世界将棋AI電竜戦本戦」に参加しました。ソフト名は従来通り「ねね将棋」です。 ソフトの内容は、ふかうら王(やねうら王のMCTS+DNNバージョン、つまりDL系将棋ソフト)をiPadに移植したものです。ふかうら王に対する独自性としては、iPad上のNeural Engineという機械学習専用チップを利用するためのコードを実装した点です。以下の記事で報告したものから変更はありません。
1日目の予選では34チーム中19位でした。2日目はB級リーグ(予選の11位~28位が参加)に参加し、18チーム中12位でした。
対局のピックアップ
なのは戦(2日目)
ねね将棋が頓死しました。1000NPS程度の読みの速度なので、こういう事故があります。1日目はなのはに勝ったので、大きく棋力が違うということはないと思います。
十六式いろは煌(きらめき)戦(2日目)
一手詰めの局面で十六式いろは煌(きらめき)が指し手を返さず、時間切れでねね将棋の勝ちとなりました。
コンピュータ将棋大会だと、一手詰めの局面でも相手がフリーズする場合があるので、人間同士のようなマナーで投了せず、本当に詰まされるまで指したほうが勝ちを拾える場合があります。相手を詰める最後の一手は特殊な要素があるため、その他の手を指すときよりも不具合が出やすいと思われます。将棋ソフトにはPonder(自分の指した手に応じた相手の次の手を予想して、相手の手番で思考する機能)がありますが、一手詰めの局面だと相手の次の手がないという状況になります。5月の選手権では、逆に詰まされたときにちゃんと投了できないという不具合のあるソフトを見かけました。詰みのケアはちゃんとテストしようというのが教訓でしょうか。
感想と今後
ねね将棋としては、大会参加ソフト全体のレベルが高いということもあり、あまり振るいませんでした。ぎりぎり勝つか負けるか、というような相手が少ないため、面白い対局があまり生まれないのが寂しいですね。今後の目標としては、iPadで出せる棋力の限界に挑戦することでしょうか。NNUE型のほうが強いことはわかっているのでそれを中心に据えつつ、NNUE型はNeural Engineを使わないのでNeural EngineでDL系エンジンも動作させて合議させるような仕組みができないかと思っています。
大会全体としては、あらきっぺさんが人間とAIの合議で出場し、dlshogi with HEROZ 30bをはじめとした競合ソフトに複数回勝利したのがすごかったです。複数のAIの合議のさせ方、時間管理、定跡など、AIだけのシステムに対してもフィードバックできる余地があるのだろうなと思っています。
運営の皆様、対局相手の皆様どうもありがとうございました。